［所在地］岡山県苫田郡鏡野町奥津川西 　発見の詳細は不明であるが，明治時代末期に相当な設備を設け採掘作業を始めたがすぐに休山し，昭和２０年頃にも稼行したが再度すぐに休山したようだ。銅，ビスマスを採掘していた鉱山である。岡山県鏡野町内には他にもビスマスの鉱床があり，この鉱山もその１つである。花崗閃緑岩中の高温の熱水鉱脈鉱床と思われる。鉱山の下まで未舗装の道が通じており，道の終点は広場になっている。そこからは沢を登っていくこととなる。付近は植林地になっている。鉱山部分は余り大きくないが平地になっており入口付近は小さいズリがあったようだが埋まっており掘ってみると鉱石が現れる。一方平地の方にもかつては鉱石の転石があった。訪れる度に掘り返されたりしているなど風景が変わっていることがあるため採集に来る人は結構いるようだ。ズリ中や平地の鉱石の転石には赤鉄鉱，黄銅鉱，斑銅鉱などが見られた。銅分に富んだ鉱石や花崗閃緑岩を丁寧に見ていくと１０ｍｍ内外のビスマス鉱物をごく希に見つけることができる。この鉱物はウィチヘン鉱であることが多いが，他にもウィチヘン鉱と同様な色をした鋼灰色のエンプレクト鉱，三原鉱なども産出し，肉眼鑑定では鉱物種の同定は難しい。入口までの沢の転石には赤鉄鉱が時々見られた。坑口は確認していないがさ らに上部にあるようだが一見したところでは坑口があったようには見えない。当地はマムシが非常に多いところらしく夏から秋にかけて藪になってしまうため注意が必要である。ちなみに熊について，以前現地の人に尋ねてみたところ，今まで見たことも聞いたこともないとのことだったが，最近鏡野町の少し離れた地域でも目撃例が増えてきたため現地に行くには一応鳴り物などを用意しておいた方がよさそうだ。