[所在地]岡山県総社市延原

 発見の詳細は不明であるが昭和中期頃に珪石を採掘していた鉱山である。稼行の具体的な時期は不明である。呼び名は「たかざわこうざん」か「たかさわこうざん」またはその他の呼称なのか不明である。鉱山名は当初は旧富山村にあったことから富山鉱山かと思ったが富山鉱山は付近に別にあったようで小規模に銅を採掘していたそうだ。鉱山名は「岡山県鉱物目録」という文献に出ており,産出鉱物と位置がほぼ一致しているのでおそらくこの鉱山のことと考えられる。当地は沢を登った山のなだらかな斜面上に位置しており小規模なズリがある。鉱床はリチウムに富む小規模なペグマタイトである。ズリ中で最もよく見られる鉱物は曹長石である。曹長石は白色のものが多いが中に薄い水色をしたものが見られる。その他この鉱山では紅雲母が産出することが知られている。ズリ中に希に薄いピンク色をしたものが見られるが,だいたい剥がれ落ちたものであり母岩付きのものは珍しい。ごく希に紫色に近い雲母も見られる。白い雲母も見られるが,肉眼では紅雲母の白色のものか白雲母か区別しにくい。またやや茶色味を帯びた雲母が見られることがあり,チンワルド雲母である。チンワルド雲母は俗称であり厳密には鉄に富むものリチウムに富むものの2種類あるがおそらくここのチンワルド雲母はリチウムに富んでいるものと思われる。またかつては電気石(リチア電気石かどうかは不明)を産出したと いう話を聞いたことがある。当地はマムシが非常に多いところらしく夏から秋にかけて藪になってしまうため注意が必要である。また少し前であるが木の根が現れ倒れそうになるほど採掘した形跡があり,産地保護,自然保護,モラルの点から節度を持った採集を心掛けて欲しい。