[所在地]岡山県和気郡和気町益原

 この鉱山の詳細な稼行時期は不明である。岡山県の鉱山に関する資料にもあまり登場しないが,銅を採掘したと思われる。鉱床は中生層の花崗閃緑岩中の高温熱水鉱脈鉱床または気成鉱床と思われる。鉱山の近くに温泉跡があり,温泉跡の先の山道を進んで行くことになる。この山道は地図ではずっと続いているように書かれているが、実際には鉱山の入口を少し過ぎた辺りの山が狭まった所で笹に覆われて通行できなくなる。山道の途中の右側に沢があり石が雪崩れ落ちている。沢の下の方は雨により雪崩れ落ちたようでズリとは分かりにくいがこの沢を上っていくと次第にズリだということが分かる。ズリは尾根近くまで続いており傾斜が急で長大である。ズリの途中には小屋跡や坑口跡が見られた。ズリの上にも坑口があり,その横にもさらに上に向けてズリがある。主な鉱物はズリの中程より下で多く見られる傾向がある。ズリ中に見られた鉱物は,金属鉱物では方鉛鉱,硫砒鉄鉱が多く,余り大きくはないが結晶を成しているものがある。他にも硫砒鉄鉱と見分けがつきにくいが砒鉄鉱が見られる。その他米粒大〜1cm強程度の透明な水晶が群生しているものも所々見られた。二次鉱物では孔雀石,青鉛鉱,ビューダン石,ミメット鉱などが見られるが,ビューダン石は方鉛鉱と硫砒鉄鉱,砒鉄鉱の分解により生成されたものであり,皮膜状,土状のものが多い。稀に濃い黄色の粒状になっているものも見られた。ミメット鉱は当初に40cm位の母岩の表面に白色半透明のものが点々と付いていたのを確認したのみで,その後は確認していないことから産出は稀であると考えられる。
 
この鉱山に入る場合,温泉跡の下にある産業廃棄物処理場の人に必ず立入の許可をもらうこと。不在の場合は絶対に入山しないこと。