［所在地］岡山県加賀郡吉備高原町下加茂 　発見の詳細は不明であるが，昭和中期〜後期にかけて珪石を採掘した鉱山である。付近にモリブデン及び珪石を採掘した加茂鉱山があり，同じ鉱床であると考えられる。黒雲母花崗岩中のペグマタイト鉱床であるが，石英の一部はグライゼン化している。この地域にはペグマタイトの鉱床が点在している。そのため採掘場もそれに伴いいくつか点在している。最も大きなものは山中にある。地元の人に聞取りを行っても知っている人は少なかった。稼行当時はトロッコと索道で運搬していた。町道を山に向けて登っていくと集会所のような建物があり，その付近に道路に沿って緩やかに下っていく山道がある。その山道を尾根伝いに進んで行くと８ｍ×１０ｍの採掘場跡の窪みが現れる。深さは５m程度である。昇り降りには労力が必要となる。その窪みの近くには露頭が残っている。採掘場の底には大型ごみが投げ捨てられており歩きづらい。窪みの斜面や底に若干のズリが残っている。ズリの多くは花崗岩であり，その中で見られる鉱物は珪石を採掘していただけに石英，長石，黒雲母くらいである。風化した土砂を詳しく調べるとジルコンや淡い黄褐色〜無色，または茶褐色の粒状のゼノタイム，モナズ石，褐廉石が見られるとの資料がある。いずれも大きさは顕微鏡大と思われる。ここの土砂をパンニングすればこれらの鉱物が見られる可能性はある。その他にも黄鉄鉱，蛍石，磁鉄鉱，蒼鉛の二次鉱物が産出した記録が残っている。この近くにも３，４の採掘場跡があったらしいが詳しい場所は不明である。他にもここから東側の離れた所にある県道沿いから少し入った所にも似たような採掘跡があるようだ。この採掘跡は放射能レベルが高かったようなので，調査してみたが該当するような地形が見当たらず分からなかった。