[所在地]岡山県新見市大佐小阪部

 発見の時期,稼行の時期は全く不明である。詳しい資料はほとんど残ってなく「阿哲郡誌」にわずかな記録が見られるのみである。クロムを採掘していた鉱山である。中生層蛇紋岩中の正マグマ鉱床である。写真は鉱山ではなく付近にある採石場または採石場跡地のものである。鉱山は大佐山に登る道路から林道を進んでいった所にあるようだが詳しく調査していない。「阿哲郡誌」には鉱山名や所在地,鉱区坪数,所有者などの記載が残っている。またこの鉱山は大佐山にあるが,大佐山の西方の山腹標高700mの所に銅,鉛を採掘した鉱山がありその鉱山名も大佐鉱山となっているようだ。写真の採石場は大佐山に登る道路のほとりにあり,すぐに目につく場所にある。採石場は道路に面した所は平地になっていて,その先が崖になっている。崖は蛇紋岩の露頭になっている。崖下の近くには砕石または崩落による転石が多く見られる。こうした転石のほとんどは蛇紋岩である。蛇紋岩の一部に黄緑色をしたものが見られる。一般の蛇紋石はマグネシウムが多く含まれているが,マグネシウムの一部がニッケルに置換されたいわゆる珪ニッケル鉱(含ニッケル蛇紋石)が見られる。他には霰石や白色鉱物が見られる。霰石は表面が汚れているものもあるが,結晶がしっかりしたものが見られることがある。白色鉱物については,蛇紋石の表面に1〜2mmの房状あるいは粒状結晶の集合体を成し,縁はチカチカしており割れ面は放射状になっている。最近分析を行ったところ水苦土石であることが判明した。

 
採石場は蛇紋岩地帯になっていて,蛇紋岩は脆く崩落することが多く崖崩れに巻き込まれてしまう可能性があるため崖下に不用意に近づかないこと。また,崖の斜面を叩いたり掘ったりすること等で振動により崖崩れが起こる可能性があるためそうした行為は絶対に行わないこと。