[所在地]岡山県総社市宿

 発見の詳細は不明だが,地質調査所発行の「鉱物資源資料」によれば太平洋戦争中に珪砂を目的に大量に採掘したとなっており,戦後に長石鉱床の開発に着手したとなっている。珪石を採掘した鉱山である。長石鉱床採掘時は陶磁器用として名古屋方面に出荷していた。陶磁器用採掘時の出荷量は1か月あたり10t程度であり,その後板ガラス用にも出荷するようになり,その際の出荷量は1か月あたり250〜350tまで上昇した。付近は黒雲母花崗岩とこれを貫く玄武岩質の岩脈及び花崗岩を覆う粘土層からなっている。この地域は低い丘陵地になっており,谷の両側に鉱床があり採掘跡があったようだ。採掘時には長石の比較的大きな結晶も見られたそうだ。鉱床は花崗岩を貫くペグマタイト質の長石鉱床で10か所以上あったようで現地写真はその1つだったようだ。長石が主な鉱石で石英はほとんど伴われていなかったようだ。採掘跡の近くには事務所や水洗工場もあったと記載されている。現地は南北に走る道路から少し入った所にあり交通の便は悪くない。写真の場所ではないが,少し奥に入った所にあった採掘場からは軽索道が設けられ搬出していた。索道は400mくらいのものもあった。写真の採掘場は道路から少し入ったところにあり,山肌を削って採掘した様子がよく分かる。道路から写真の採掘場の間は湿地帯になっており歩きづらい。採掘場の下には量は多くないが採掘時の鉱石のかけらが散らばっている。鉱石は白い長石が多く,記載文のとおり石英はあまり見られなかった。その他若干の黒雲母が見られた。放射能鉱物の産出を期待して訪ねてみたが,黒雲母がわずかしか伴われてなく,見る限り放射能鉱物の産出は望めそうにない。長石,石英,黒雲母の他に見られた鉱物は花崗岩中に微細な薄い紫色をした蛍石が見られた程度であった。