[所在地]山口県下松市来巻

  発見の詳細は不明であるが,昭和の初期頃から昭和の中頃にかけてマンガンを採掘していた鉱山である。広島県西部〜山口県東部〜山口県南東部にかけて多くのマンガン鉱床があるが,この鉱山はその中で最も規模が大きかったようだ。昭和30年前後には機械化が導入されかなり活発に採掘されたようだ。層状マンガン鉱床である。この鉱山は渓流沿いにあり,鉱山まで運搬用トラックが通行できる道幅の道路が通じている。かつては未舗装でも車両の通行に支障がなかったと思われるが,現在では道路が流水によってえぐれている部分があったり,削れてこぶし大以上の岩がゴロゴロしている部分があったりで現在では車両の通行には支障がある。さらに,平成30年度の豪雨災害により一部護岸が崩落し工事中となっており.工事をしていない場合は通行止めとなる可能性がある。鉱山付近はズリが渓流に雪崩れ落ちている。渓流沿いの道路を対岸を見ながら歩いていくと木の枝や根に覆われながらも一部が薄黒くなっている所がありマンガン鉱石のズリであることが分かる。渓流は鉱山部分では容易に渡ることができるが滑らないよう注意する必要がある。渓流を渡ると小さいながらもマンガン鉱石の散らばるズリがあり,渓流に沿って上流方向に少し奥に入ると小さなズリ山や塞がれた坑口,鉱山用設備が放置されており鉱山の面影が残っている。奥の谷沿いに進んでいくとズリが現れるがマンガン鉱石はほとんどないように思われた。先に述べた渓流沿いのズリや奥に入ったズリ,塞がれた坑口付近にクリプトメレーン鉱,菱マンガン鉱,テフロ石,アレガニー石,バラ輝石,微小な粒の満礬ザクロ石の塊石などが見られた。他にも様々なマンガン鉱物を産出したようだ。ただし,夏はこの付近は藪と化してしまい場所が分かりづらいかもしれない。
 工事中の場合は許可をもらって通行すること。工事をしておらず通行止めの場合は立入らないこと。