[所在地]鳥取県鳥取市佐治町中

 発見や稼行時期の詳細は不明であるが,地元の人の話からすると戦争中〜戦後にかけて稼行していたものと思われる。マンガンを採掘した鉱山である。鉱山名については山王鉱山としているが第三糸白見鉱山かもしれない。鳥取県東部にはマンガンを採掘した鉱山がいくつかあり,この鉱山もその1つである。これらの鉱山の中で最も西側に位置している。古生層中の珪質千枚岩中に胚胎する層状マンガン鉱床である。この鉱山に行くには,まず手掘りと思われるトンネルを通り渓流に出る。付近に底が抜けてもおかしくないような木の橋がある。この木の橋を渡るか流れの速い渓流を渡るかのどちらかを選択しなければならない。渓流を渡った対岸には索道があり,地元の人の話ではこの索道には鉱石を運搬するためのトロッコが敷設されていたそうだ。渡ってすぐの所に小さい滝があり,索道はその脇を通っているが,足を滑らすと渓流に転落しそうな場所もある。索道をしばらく進むと対岸に坑口が3つ見えてくる。この内2つは木の柵で封鎖されている。対岸に渡る橋はなく,何度か流されそうになりながら,流れの速い渓流に腰まで水に浸かりながら渡ることになる。この鉱山には山王鉱床と中鉱床の2つの鉱床があるが,これらの坑口は山王鉱床と思われる。木の柵で封鎖された坑道が奥行きがあるようだ。坑口の前から川に向かって雪崩落ちているズリがわずかながら見られる。ズリは洪水などで大半が流されたように思われる。ズリ中には,微細粒が集ってできた閃マンガン鉱,テフロ石,バラ輝石などが見られる。数年前に再調査を行ったところ,坑口にあるわずかなズリ石に緑マンガン鉱が見られた。またこの鉱山で産出したヘルビンをいただいたことがある。上に書いているように,この鉱山に行くには,危険な場所をいくつも通らなければならないのと,同種の鉱物は他の鳥取県東部の鉱山でも見ることができることから,この鉱山には近づかない方がよい。