[所在地]鳥取県鳥取市用瀬町赤波

 発見の時期は不明であるが,稼行の時期は東京地学協会発行の「日本鉱産誌」によれば昭和14〜19年となっている。さらに山名巌氏著「鳥取地学会誌第2号の鳥取県における鉱山の情報」によれば,昭和19年以降休山,昭和41年には稼行中となっている。マンガンを採掘した鉱山である。鳥取県東部にはマンガンを採掘した鉱山がいくつかあり,この鉱山もその1つである。これらの鉱山の中では中規模の鉱山だった。古生層中の珪質千枚岩中に胚胎する層状マンガン鉱床である。南北2kmにわたって9か所の鉱床があり,これらの鉱床を合わせて大村鉱山と呼ばれている。これらの鉱床のうち松下鉱床は松下鉱山と呼ばれることもある。鉱床は県道沿いもしくは山深い所にある。地元の人への聞き取りでは県道沿いの鉱床と地図にある鉱床については知っている人がいた。地図にある鉱床は県道のそばの平地から対岸に見ることができる。この鉱床は斜面を降りて渓流を渡って行くこととなる。足首くらいの水深であるがなかなか濡れずに渡って行けるところは少ない。渓流を渡ったすぐ近くに坑口がある。その北側の斜面にズリが雪崩れている。ズリの上部に坑口がある可能性があるが,かなり上まで登ってみたが坑口は確認できなかった。ズリ中にはテフロ石,バラ輝石が多くみられるが,マンガンが濃縮した鉱石には微細な緑マンガン鉱が見られた。さらに菱マンガン鉱中に黒色筋状の鉱物が見られたためヤコブス鉱かと思えたが分析した結果,閃マンガン鉱であった。
 ところでこの付近は頻度の高い熊の出没地帯である。この鉱床は県道沿いにあるが,川の近くにあり水流の音で熊が人の接近に気付かない可能性もあるため注意が必要である。また現地は谷あいであるため薄暗い時間帯や秋など熊の出没頻度が高い時期は避けたほうが良さそうだ。