[所在地]島根県出雲市大社町鷺浦

 発見の詳細は不明であるが,島根県地質図説明書編集委員会編集の「島根県の地質」や現地にある説明看板には,室町時代にはすでに開発されていたと記載されている。大永6年(1526年)に当地の鉱山師が新たに開坑し,それ以降本格的に採掘が始まったようである。江戸時代,明治時代には盛況を迎えた。ただ明治45年には休山となっており,その後昭和10年に再開したが,まもなく閉山した。中新世凝灰岩及び黒色頁岩中の黒鉱鉱床及び鉱脈鉱床である。銅,銀を採掘した鉱山である。島根半島一体は東西にわたって黒鉱鉱床が多く点在しており,それらの鉱床の1つである。鉱山は日本海沿いの集落から南下した県道のほとりにある。現地には立木に括りつけられたこの鉱山に係る説明看板があり,若干の経緯が記されている。鉱山の遺構は道路から少し上がった所に坑口が残っているのみである。この坑口は竪坑で水没しているようだ。ただ道路とそのすぐ横を流れる河川の間は幅は狭いが,昔のズリを均して平地にしているような場所があり,河川沿いもズリのような感がある。最初に訪れた際には,脇に鉱石が見られたが,今はほとんど目にすることがない。東北地方,北陸地方の日本海沿岸にはグリーンタフ地域があり,島根県,鳥取県にも見られる。グリーンタフとは緑色の凝灰岩のことを指しており,緻密なものから粒子の粗いものがある。見られた鉱石はそうした緻密なグリーンタフの隙間に網目状に走る微細な黄鉄鉱の結晶が集まったものだった。資料によれば黄銅鉱,黄鉄鉱,閃亜鉛鉱,方鉛鉱が産出した記録が見られるが,黒鉱中のものが主と思われる。銀は微細な針銀鉱が含まれていたか,含銀方鉛鉱からの産出と思われる。脈石鉱物は石英,緑泥石である。