[所在地]島根県江津市都野津町

 発見の詳細は不明である。島根県地質図説明書編集委員会編集の「島根県の地質」には、名称、産出鉱物、位置図の記載はあるが沿革などの詳しい記載は見られない。また、地質調査総合センターの20万分の1地質図には、銅と砒素の記号が描かれている。現地の人からの聞き取りによれば、昭和時代の前半に稼行していたということである。鉱山名は当時の都野津町に因むものと思われる。銅を採掘した鉱山である。「島根県の地質」によれば花崗岩中の鉱脈鉱床と記載されている。地質図では鉱山付近の地質は古生層角閃石斑レイ岩となっている。現地を調査した際、航空写真では里山の頂上付近に樹木が生えていない地形が見られたことから調査を行ったが、鉱物は全く見られず、鉱山と全く関係がないことが判明した。ただ、小高い里山から日本海の雄大な景色は眺望できた。その後、集落の人から市道のすぐ近くの山の斜面に開坑していたことを聞かされた。現在は急傾斜地崩壊対策事業により坑口は完全に埋め戻され、斜面は井桁型のコンクリート構造物で覆われ、当時の面影は全く残っておらず、鉱山があったようには見えない。現地の人に埋められた坑口付近を案内していただくと空き地があり、空き地に薄緑色の鉱物が見られた。確認したところ珪孔雀石だったが、参考程度の試料である。地図ではズリとしているが、実際は転石程度である。鉱物が見られたことから現地に鉱山があったことは間違いないようだ。「島根県の地質」には黄銅鉱の産出記録が見られ、地質図には砒素の記号が描かれていることから、他に硫砒鉄鉱も産出したものと思われる。