［所在地］岡山県美作市白水 　発見の詳細は不明だが、「英田郡誌」によれば大正６年に開坑と記されている。「英田郡誌」が発行された大正１２年にはすでに休止となっている。また、東京地学協会発行の「日本鉱産誌」に昭和１８～１９年に稼行された「土居鉱山」の記載が見られるが、この地域には他に思い当たる鉱山がないことから同一鉱山である可能性がある。稼行時期が異なっていることから鉱山名を変えて稼行したのかもしれない。白水村は明治２２年に合併により消滅していることから、鉱山名は当時の大字に因む可能性がある。因みに白水村は合併後土居村、その後土居町となっている。マンガンを採掘した鉱山である。古生層チャート中の層状マンガン鉱床である。この付近にはマンガン鉱山はこの鉱山しか見当たらない。鉱山は主要の県道から備前市に抜ける市道沿いにある。道路は舗装されているが狭く対向車とのすれ違いが難しい箇所が多い。道路沿いに坑口が開坑しており、入口にゴミが投棄されている。また、道路の横には川が流れており、川と道路の間にわずかにズリが見られる。ズリはマンガン鉱山特有の真っ黒な転石が多く見られる。ズリ中で確認された鉱物はネオトス石、満礬ザクロ石、パイロクスマンガン石とバラ輝石である。「日本鉱産誌」の土居鉱山の欄にマンガン鉱石の種類についての言及はなく、主たるマンガン鉱石は何だったのか不明である。鉱山の稼行には交通の便は悪くないが、ズリ中のマンガン鉱石を見る限り珪酸分が多くマンガンの品位は良さそうに見えず、川にも近いことから小規模に稼行された様子がうかがわれる。 　現地は今のところ熊の出没情報はないが、山深く、道路沿いであるものの人の往来が少ないため目撃情報が少ない可能性もあるので鈴などの鳴り物は必携である。また早朝や夕方などの時間帯や秋などの熊の出没頻度が高い時間、時期は避けたほうが良さそうだ。