[所在地]広島県神石郡神石高原町時安

  発見の詳細は不明であるが江戸時代にはすでに採掘が始まっていた。近年では明治時代の初期に銅を採掘していた記録が残っている。現地は川が南北に流れるV字谷で峡谷になっている。川の東岸に県道が走っており,そのすぐ傍らに金網で塞がれた坑口が1つ残っているが別の鉱山である。この付近には他にも馬乗鉱山,財福鉱山などがある。いずれも古生層中の接触交代鉱床(スカルン鉱床)である。川の対岸の河床から少し上がった所に坑口が2つ見られる。坑道は水没していた。ズリの大半は過去の増水で流されたようで一部が残っている。また少し北の崖のかなり上の方に大きな坑口が見られる。行ってみようとしたが結構危険でどのようにして登って行ったのか不思議である。付近にはズリが雪崩れ落ちている。川から少し上がった所には石積みがあり施設跡があった場所と思われる。現在では建物の痕跡は全く残っていない。地元では面白い逸話が残っている。近くの甲山鉱山で金が発見されたが,青滝鉱山の鉱区と重なっていたため青滝鉱山が期限切れになるのを待って甲山鉱山を開発したということである。ズリや坑口の前で見られた鉱物は塊状の黄銅鉱,磁硫鉄鉱,ブロシャン銅鉱,ラング石などである。また川の河床には磁硫鉄鉱を多く含む比較的大きな岩がしばしば転がっている。現地に行くには細い見通しの悪い県道を通っていくことになり,離合が困難な所が多く対向車が来るとかなりバックしなければならないことがある。また,鉱山に行くには県道から降りて川を渡っていくしか方法がなく,滑りやすいうえに水量にも注意する必要がある。また崖の上にある坑口は登っても鉱床の内容から興味を引くような鉱物はないと思われるため危険であることから絶対に近づかないこと。