[所在地]広島県庄原市東城町久代
発見の詳細は不明であり,現在の稼行状況及び稼行時期の詳細などについては鉱山を調査していないため不明である。石灰石を採掘した鉱山である。鉱山では石灰石を採掘しているが,付近には高温スカルンの露頭がある。久代としては鉱山ではなく高温スカルンの方が有名であり,鉱山付近で世界的にも珍しい高温スカルンが発見された。通常のスカルンは花崗岩マグマが石灰岩に貫入,接触してできたものだが,さらに高温のマグマが貫入,接触してできると高温スカルンとなる。地質図では石灰岩付近に安山岩あるいは玄武岩質安山岩の溶岩・火砕岩が見られこれが関係したものかもしれない。露頭は3か所あるようだ。2か所は調査を行ったがもう1か所は調査を行っていない。調査した露頭の1つは道路の横にある。露頭は石灰岩が多く,小さな方解石の結晶が集合しているのが見える。しかし一部に加水ザクロ石が見られ高温スカルンだということが分かる。露頭の幅は数10mで,高さは10m前後あるように思われるが登っていないので不明である。露頭の下には転石が見られ,転石には方解石,灰礬ザクロ石,加水ザクロ石,珪灰石様鉱物,直方体をした白色のベズブ石などが見られる。ただ表面が風化しているものが多いため高温スカルン鉱物を見逃したり,区別がつかないことがある。もう2か所はここから,数100m離れた所にある。1か所は藪になっており場所が分かりにくい。もう1か所はさらに離れた所にある。こちらの露頭では磁硫鉄鉱,含チタンザクロ石,加水ザクロ石,スパー石,クサビ石,ゲーレン石,ティレー石,スコート石,葡萄石,灰長石などが見られる。淡いピンク色の鉱物も見られたがこちらは調査中である。他にはゾノトラ石,モンチセリ石,ダジェルフィッシャー鉱,トロイリ鉱などの珍しい鉱物が見られるようだ。ただ布賀鉱山のように銅などが関連する鉱物はみられない。見られる鉱物の産地名としては久代鉱山ではなく,庄原市東城町久代とする方が正しい。 |