［所在地］広島県庄原市西城町平子 　発見，稼行の詳細な状況は不明だが，何らかの資料で昭和年代に稼行していたという記録を見た覚えがある。石灰石を採掘した鉱山である。隣接の庄原市東城町付近には石灰石を採掘した鉱山がいくつかあり，この鉱山もこれらの鉱山の１つだった。以前見た何らかの資料では鉱山名も掲載されていたような記憶が残っているが小滝鉱山だったかどうかは不明である。小滝採石場という呼称もある。鉱山は県道から小さな橋を渡った所にある。風景写真は入口から見える露頭やズリを写したものである。この上にも露頭やズリがあり，採掘跡はかなり高い所から山肌をえぐり取っている。風景写真のズリは上から雪崩落ちたものであり，上の方にはしっかりしたズリも見られる。採掘跡は切り崩したものだが，露頭の下は小さいながらも浅い坑口のようになっている部分もある。露頭やズリには石灰岩が見られるが，規模からいってあまり品質はよくなかったものと思われる。石灰岩は緻密に集合したもの，小さい方解石の結晶が集合したものが見られる。この鉱山ではクスピディンの産出が知られている。クスピディンと言えば高温スカルンの鉱物として知られているが，その他の高温スカルン鉱物を産出したという話は聞いていない。クスピディンについては今の所見い出せたことはなく，クスピディンを見てはっきり分かる人でなければ採集，観察は難しい。鉱物でよく見られるものは方解石，珪灰石である。その他灰礬ザクロ石，灰長石，葡萄石，ベズブ石，方沸石，濁沸石が見られる。方沸石は鉱物採集仲間が１個見つけているに過ぎない。 　採掘跡はかなり高い所からえぐり取っており，露頭の下は落石や崩落の可能性があるため近づかないようにすること。また鉱山のすぐ下には高低差のある川があり，滑落する恐れがあるため川の斜面にも近づかないこと。動物類では鉱山の採掘跡の直上でサルの群れを発見し，警戒音を発せられたこともあり注意すること。