[所在地]山口県山口市宮野上
郷土史である「宮野八百年史」によれば発見の詳細な時期は不明であるが,室町時代から江戸時代にかけて銀山として盛んに稼行されていた。その後明治時代から昭和33年頃にかけて断続的に稼行されたようだ。以前は一ノ坂銀山と呼ばれていた。銀,マンガンを採掘していた鉱山である。マンガンは最後の昭和33年頃に稼行した際に貯鉱されていたものを出鉱したようだ。この鉱山も山口市の北西部にある鳳翩山の周囲にある鉱山の1つである。中生層千枚岩中の低〜中温の熱水鉱脈鉱床と思われる。マンガンと言えば層状マンガン鉱床が一般的だが,熱水鉱脈鉱床で産出することもある。中国地方では岡山県の伊田鉱山,広島県の大父金鉱山など熱水鉱脈鉱床での産出例はあるが,採掘例はあまり多くない。鉱山は県道から谷に下って行く山腹にあり,いくつかの坑口やズリが見られる。以前は入口付近に21世紀の森管理センターがあり鉱山跡も管理していた。以前はそこで立ち入りや採集の許可をもらうことができたが,今は建物自体撤去されているため鉱山への立ち入り,採集が可能かどうか不明である。坑口やズリ付近は遊歩道が整備されていたが,今は管理されていないと思われるため荒れている可能性がある。ズリはマンガンを含むため黒いものが多い。ズリ中で確認できた鉱物は質は悪いがパイロクスマンガン石が見られた。資料によれば輝銀鉱,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,閃マンガン鉱,バラ輝石などが産出したとの記載がある。
ところでこの地域は頻度の高い熊の出没地帯である。昼間は比較的明るく大丈夫のように思えるが,一応,鳴り物などを用意しておいた方が良さそうだ。また早朝や夕方などの時間帯や秋などの熊の出没頻度が高い時間,時期は避けたほうが良さそうだ。 |