[所在地]山口県萩市大字佐々並
発見の詳細な時期及び稼行の時期は不明である。唯一,記載されている資料は,渋谷五郎氏,亀谷敦氏共著「山口県産鉱物目録」山口県立山口博物館報告第39号に鉱山名が出てくるのみである。もう1つ鉱山の位置が記された資料があったが資料名については分かっていない。詳細な記載がされた資料がないため何を対象に採掘していたか定かではないが,銅または砒素を採掘していたものと思われる。石英斑岩中の中〜高温の熱水鉱脈鉱床と思われるが見られる岩石,鉱物が少ないため詳細は不明である。付近に佐々並鉱山があり,この佐々並鉱山も長小野にあることから佐々並鉱山と混同されることが多い。実際,地元で聞き込みを行うと佐々並鉱山の場所を教えられることが多い。「山口県産鉱物目録」の産地のページの旧旭村には佐々並鉱山と長小野鉱山が並列に記載されており,別の鉱山であることが示されている。長小野地区の集落の北西方向に位置している。付近で農作業をしていた地元の人に話を聞くと奥の方の市道の下に坑口が空いていると言われ,行ってみると坑口が開口していた。市道からやや下った所にあり,市道と川の間にある。市道と川の間は原野になっており,市道からでは分かりにくい。坑口はあまり深く掘られているような印象がない。また,河床よりあまり離れていないことと高低差がないため,流入水や湧き水が多かったと思われ,大規模に開発されたとは考えにくい。坑口から少し下がった所は畳2枚分程度の空き地になっており,そこにわずかながらズリが見られる。ほとんど鉱物は見られなかったが,1〜2cm程度の硫砒鉄鉱が1個見られたのみであった。その他の金属鉱物,二次鉱物は確認できなかった。一方「山口県産鉱物目録」では,自然砒の欄に萩市(旧旭村)小野鉱山と記されているがこの鉱山のことと思われる。ただ現地では今のところ自然砒の産出は確認できていない。 |