[理想化学式] CuBiS
 銅とビスマスの硫化鉱物である。色は鋼灰色であるがやや白っぽいものや黄色味を帯びているものが多い。金属光沢を示す。直方晶系(斜方晶系)である。結晶は海外では針状,棒状のものが見られるが塊状のものも見られる。銅とビスマスを含む硫化鉱物は他にも色々な種類があり肉眼鑑定は難しい。中温〜高温の熱水鉱脈鉱床に産出することが多い。黄銅鉱,斑銅鉱,輝蒼鉛鉱,ウィチヘン鉱などと共生することがある。硬度は2,比重は6.4とされている。ギリシア語の「複雑に絡み合った」が名前の由来だそうだ。海外では中国,ドイツ,チェコ,アメリカなどで見られる。日本では北海道の手稲鉱山,山形県の大張鉱山,兵庫県の生野鉱山と明延鉱山などで産出が報告されている。顕微鏡大や大きな鉱山でビスマスを産出する鉱山であれば新たな産出も予想される。伊茂岡鉱山は植林中に平らになった部分があり表面の腐食土を取り除くとズリが堆積している箇所がある。このズリ中に花崗閃緑岩が含まれている。エンプレクト鉱は花崗閃緑岩中に斑状を成して産出した。ただ現在ではこうした鉱石はほとんど見られない。ウィチヘン鉱が入っている花崗閃緑岩には斑銅鉱やあるいは薄い黄色を成す泡蒼鉛と共生しているものがある。また近くの羽出鉱山では輝蒼鉛鉱,アイキン鉱,クルプカ鉱などとともに電子顕微鏡下でエンプレクト鉱が産出するとの話を聞いたことがある。拡大写真では分かりづらいが右側の端の上部の鋼灰色に光っているものが本鉱である。この標本は裏側に数mm程度のエンプレクト鉱あるいはウィチヘン鉱が付いている。EDS分析を行った結果,銅,ビスマス,硫黄が検出された。構成元素比率(At%)は概ね1:1:2なっており,数か所分析を行ったがいずれも概ね1:1:2となっているためエンプレクト鉱であると考えられる。

                                                
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