[理想化学式] PbMoO
 鉛のモリブデン酸塩鉱物である。色はオレンジ色,黄色,ハニーイエローが一般的であるが,まれに透明なものや茶色,灰色のものもあり,ダイヤモンド光沢,樹脂光沢を示す。一般的に板状結晶を成しているが,中には板が厚くなりキャラメルに似ているのもある。正方晶系である。硬度は3である。比重が6.5〜7.5とかなり大きいのが特徴的であるが,多量に付着したものでない限り重量感を感じるのは難しい。日本名ではモリブデン鉛鉱と呼ばれることが多いが,他にも黄鉛鉱,水鉛鉛鉱と呼ばれることもある。オーストリアの植物学者・鉱物学者で登山家でもあるフランツ・ザーフェル・フォン・ヴュルフェン氏が名前の由来だそうだ。日本では他に福井県の中竜鉱山,岐阜県の洞戸鉱山など所々に産出する。羽出鉱山ではズリ中の石英の表面に,薄黄色の柱状結晶を成して非常に希に産出した。拡大写真では左寄りの部分に薄黄色のものが点々と付着しているのが本鉱である。採集後長い間不明鉱物となっていたがEDS分析の結果,モリブデン鉛鉱であることが同定された。EDSによる分析では別添結果のとおり鉛とモリブデンが検出されたが,部位によってはモリブデンと同程度のタングステンを含む所がある。タングステンが多くなると鉛重石となるが,中にはモリブデンとタングステンが置換し合い,中間的なものも産出する。この試料もほぼ中間的なものでかろうじてモリブデン鉛鉱と呼べるものである。このことは鉛重石も産出する可能性を示している。


                                                
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