[理想化学式] FeCO
 鉄の炭酸塩鉱物である。薄黄色,黄土色,オレンジ色,帯黄褐色,褐色などのものが通常であるが,中には赤茶色,黒っぽい色のものがある。ガラス光沢や真珠光沢を示す。結晶は菱面体,粒状,房状,皮膜状のものなどをなして産出する。三方晶系である。硬度は4,比重は3.9〜4.0とされている。菱亜鉛鉱,菱マンガン鉱,菱苦土石などとともに方解石のグループに属している。従ってこれらの鉱物と化学組成上連続し連続固溶体を形成することがある。同じ鉄を含む磁鉄鉱などの酸化鉱物に比べ精錬が容易であったようで,多量に産する場合は鉄の原料と成り得る。海外では世界各地に見られ,日本でも埼玉県の秩父鉱山,兵庫県の生野鉱山,愛媛県の別子鉱山など各地で産出する。それ程珍しい鉱物ではないが中国地方では多量に産出することがない。中国地方では今のところ他には鉱物採集仲間が岡山県の小泉鉱山で採集したものや山口県の大和鉱山で見かけたくらいである。鉱山で観察,採集する場合も目的の鉱物になりにくくノーマークで突然現れる場合が多い。現れると嬉しく,ちょっと得した気分になれる。瀬戸鉱山では閃亜鉛鉱中の茶色の部分の空隙部分に薄い褐色の粒状結晶が密集して産出している。瀬戸鉱山での菱鉄鉱の産出の確認は今のところこの鉱石に認められたのみであり,産出頻度や産出形態などの詳細は不明である。ズリに目立つものはなく,他にあっても微細であると思われ,量的にも少ないものと思われる。



                                                
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