[理想化学式] KLiAl(Mn,Fe)SiAlO10(F,OH)
 カリウム,リチウム,アルミニウム,マンガン,鉄の珪酸塩鉱物である。色は紫色,赤紫色,薄茶色などである。雲母類の一種であり,はっきりとした結晶は変形した六角薄板状結晶だが,通常は薄板状結晶を示し,薄板状結晶が積み重なったものも多い。単斜晶系である。硬度は2.5,比重は2,9とされている。花崗岩ペグマタイト中やリチウムペグマタイトのマンガンに富んだ部分に産出することが知られている。共生鉱物は日本での産出例ではチンワルド雲母,トパズ,電気石類,曹長石,石英,錫石,チェコの産出例ではマンガンに富むザクロ石,マンガンに富むリシア電気石などである。日本の薬学者であり鉱物学者である益富壽之助氏に因んで名付けられた。日本で最初に発見された鉱物である。海外では今のところ日本,チェコ,ロシア,アルジェリア,アメリカでの産出報告がある。日本では滋賀県の大津市南部にある田上山(たなかみやま)が模式標本地であり,岐阜県の中津川市苗木でも産出が確認されている。その他数か所で産出したとの情報がある。高沢鉱山は珪石を採掘していた小規模な鉱山で,リチウムに富んでおり,紅雲母が見られることで知られている。一般的には総社市延原という産地で呼ばれている。この鉱山では小規模なズリ中に上記の共生鉱物とともに紅雲母も多く見られ,ピンク色の紅雲母とともに希に紫色をした本鉱が見られることがある。拡大写真では石英,曹長石を主とする母岩の右側の割れ目に紫色に見える部分が本鉱である。全体的に紫色だが,割れ目の奥には紫色の濃い部分が見られる。顕微鏡写真では紫色をした薄板状結晶が積み重なっているのが確認できる。EDS分析ではリチウムを検出することはできないが,鉄に比べマンガンを多く含んでいることが確認された。

                                                
MENUページに戻る   前のページに戻る