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[理想化学式] (Cu,Fe,Zn)12(As,Sb)4S13 銅と砒素を主とする硫化鉱物で,一部銀,鉄,亜鉛が銅の代わりにアンチモンが砒素に置き換わることがある。色は鋼灰色〜鉄黒色である。等軸晶系であり結晶質のものは正四面体を成す。イリジウムとオスミウムを発見し,ダイアモンドが炭素であることをつきとめたイギリスの科学者であるスミソン・テナント氏に敬意を表したイギリスの地質学者であるウィリアム・フィリップス氏により名付けられたそうだ。日本では愛媛県の別子鉱山,兵庫県の生野鉱山,秋田県の小坂鉱山,釈迦内鉱山など銅鉱山に産出したという記録がある。低〜中温の熱水鉱床や黒鉱鉱床などに産出する。黄銅鉱,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,硫砒鉄鉱,黄錫鉱,褐錫鉱,石英,方解石などと共生する。金生鉱山ではズリ中の褐鉄鉱に汚染された石英の表面や石英中に産出する。輝銅鉱または四面銅鉱であろうと言われていたが,肉眼鑑定では安四面銅鉱との区別は難しい。拡大写真では表面にくすんだ灰鋼色で点々と付いているものが本鉱である。顕微鏡写真では灰鋼色の金属光沢を成している。この度成分分析を行ったところ砒四面銅鉱であることが確定した。四面銅鉱は砒素とアンチモンが様々な割合で含まれることがあり,成分の多いほうがそれぞれ砒四面銅鉱または安四面銅鉱になるが,この砒四面銅鉱は分析の結果ほとんどアンチモンが検出されず端成分に近い砒四面銅鉱であった。また,顕微鏡で全体を観察してみたが,残念ながらはっきりとした結晶は認められなかった。 MENUページに戻る 前のページに戻る |