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[理想化学式] Cu8(Fe,Zn)3Sn2S12 銅,鉄,錫の硫化鉱物である。亜鉛を含むことがある。理想化学式は文献によっては銅の部分が1価,2価と別れているものがあり,1価の銅が6,2価の銅が2となっているものも見られる。色は褐色がかった鋼色で金属光沢を示すが,光線の具合によっては淡い赤銅色や灰鋼色に見える場合がある。直方晶系(斜方晶系)である。微細なものが多いためはっきりした結晶を示すものは見たことがない。熱水鉱脈鉱床,気成鉱床などに産出する。黄銅鉱,安四面銅鉱,黄錫鉱などと共生することが多い。硬度は4とされている。実際の比重が掲載されている文献は見当たらないが計算上の比重は4.7とされている。日本名は褐色の錫の鉱物が名前の由来である。一方英名はギリシア語またはラテン語で黄錫鉱に類似したが名前の由来となっている。日本で発見され、独立種として承認された鉱物である。この鉱山のものが模式標本になっている。海外ではフランス,スウェーデン,ブルガリア,アルゼンチンなどで見られる。日本では兵庫県の生野鉱山,同じく兵庫県の明延鉱山,島根県の都茂鉱山など各地で産出が確認されているが,生野鉱山,明延鉱山,金生鉱山以外は顕微鏡大の場合が多い。金生鉱山の褐錫鉱は粗い石英中に産出する場合が多く,黄銅鉱,安四面銅鉱,黄鉄鉱などと共生する。金属鉱物としては独特の色合いをしているが,先に述べたように光線によって見え方が変わるためじっくり観察しなければ探し出すことは難しい感じがする。拡大写真では中央から下部にかけてやや明るい褐色を帯びた鋼色の鉱物が散点的に見られる部分である。顕微鏡写真では黄鉄色に見えている。EDS分析を数か所行った所,銅,鉄,錫,硫黄の構成元素比率(At%)がほぼ理想化学式に近い傾向があっため褐錫鉱と同定した。なお,この標本には亜鉛はほとんど含まれていなかった。 MENUページに戻る 前のページに戻る |