[理想化学式] MgMgSi22(OH)
 鉄の珪酸塩鉱物で直閃石ではあるが、直閃石と同じ元素で構成され同じ直方晶系にもかかわらず、結晶構造が異なっている。プロトタイプの直閃石である。他にもプロト鉄直閃石,プロト鉄末野閃石がある。マグネシウムより鉄が多くなるとプロト鉄直閃石に,前のMgの部分がマンガンが多く、後ろのMgの部分が鉄が多くなるとプロト鉄末野閃石になる。3つともすべて日本で最初に発見された鉱物である。ちなみにプロト鉄末野閃石は以前はプロトマンガノ鉄直閃石と呼ばれていた。色は通常,透明〜白色で、,針状若しくは繊維状の結晶の集合体、鱗片状または薄板柱状の結晶を成して産出する。硬度は6で比重は3.0とされている。鉱物名はプロトタイプの直閃石が名前の由来となっている。海外ではアメリカのコロラド州で産出が確認されているのみである。日本ではこの高瀬鉱山で最初に発見され,模式標本地となっている。高瀬鉱山では以前はズリのほとりにボーリングコアが放置されており、そのボーリングコアを割ると現れることがあった。ボーリングコアは主に蛇紋岩で構成されたものが多く見られた。拡大写真では黒い母岩中に透明〜白色の薄板柱状結晶が確認できる。顕微鏡写真でもほぼ同様に確認できる。この鉱物は次第に滑石に変質していくことで知られている。滑石はモースの硬度計で1の標準鉱物となっている。硬度1では爪でもた易く傷をつけることができるが、この標本を爪で傷つけてみたが傷がつかなかった。この鉱物の硬度は6であり、鉱物としては硬い方の部類に入る。硬度6は爪では傷つかないためこの標本は、まだ滑石に変質していないものと思われる。

                                                
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