[理想化学式] Zn(AsO)(OH)
 亜鉛の砒酸塩鉱物である。色は白色,クリーム色,黄色,緑色,紫色など色々なものがあり,ガラス光沢または脂肪光沢を示す。一般的に結晶は柱状結晶の集合体になっているものやコロッとした単結晶のものであることが多い。直方晶系(斜方晶系)である。硬度は3.5,比重は4.3〜4.5とされている。アダム石は紫外線により発光することが多いが,銅を含むいわゆる含銅アダム石は発光しないと言われている。この鉱物を最初に発見したフランスの鉱物学者ジルベール・ジョセフ・アダム氏が名前の由来だそうだ。鉱物的にはオリーブ銅鉱と同じグループに属する。オリーブ銅鉱の銅が亜鉛に置き換わったものがアダム石であり,銅と亜鉛の成分は組成上連続し中間的なものもある。フランス,ドイツ,ギリシャ,メキシコなど世界各国で見られるが,特にメキシコ産のものは結晶が大きいうえに茶色の母岩上の黄色い結晶が際立っており,美しく立派なものが多い。今のところ意外にもロシア,カナダ,チリを除く南アメリカ大陸での産出は確認されていない。日本では山口県の喜多平鉱山,大分県の木浦鉱山,宮崎県の見立鉱山などに産出するが数か所程度であり,西日本に偏っている。西日本でも九州地方か中国地方がほとんどである。扇平鉱山では坑口近くの露頭やズリ中に見られるが,今では確認されることが少ない。拡大写真では褐鉄鉱に汚染された母岩上に植物が付着したように見える緑色の部分が本鉱である。顕微鏡写真では半透明の房状または球状の緑色の結晶が確認できる。色からオリーブ亜鉛銅鉱の可能性も考えられたためEDS分析を行った。オリーブ亜鉛銅鉱は銅と亜鉛がほぼ1:1なのに対し,この標本は亜鉛が圧倒的に多く銅は相対的に少なかった。このため亜鉛の一部が銅に置き換わった含銅アダム石と考えられる。この標本は銅を含んでいるため例外なく紫外線による発光はしない。
                                                MENUページに戻る   前のページに戻る