[理想化学式] K(Al,Cr)Si10(OH,F)
 カリウム,アルミニウムの珪酸塩鉱物で白雲母の変種であり,独立種として認められていない。アルミニウムの一部がクロムに置換されており,含クロム白雲母またはクロム雲母と呼ばれている。鉱物名は独立種ではないためかっこ書きとしている。色は緑色,淡い深緑色,エメラルドグリーンである。緑色の発色はクロムによるものである。ガラス光沢,絹糸光沢,真珠光沢を示す。はっきりとした結晶は変形した六角薄板状結晶,薄板状結晶を示すが,白雲母ほどはっきりとした結晶を示すものは少ないように思う。他にも葉片状,鱗片状のものも見られる。クロム鉱物やマグネシウム鉱物などが見られる産地で見られる。単斜晶系である。硬度は2.5,比重は2,8とされている。日本名は文字通りクロムを含む雲母であり,一方英名であるフックサイトは,ドイツの物理学者であり地質学者でもあるカール・エミール・フォン・シャフホイトル氏が同じくドイツの化学者であり鉱物学者でもあるヨハン・ネポムク・フォン・フックス氏に敬意を表して名付けられた。鉱物としてはかなり以前から知られていたようだ。海外ではオーストリア,ノルウェー,アメリカ,オーストラリアなど世界各国で見られる。日本でも新潟県の糸魚川,愛媛県の五良津や関川,山口県の丸尾などあちらこちらで産出が確認されている。千谷鉱山では植林地のズリ中に見られる。拡大写真では菱苦土石,苦灰石や方解石を主体とする母岩のやや右下に見られる薄緑色部分が本鉱である。顕微鏡写真では微細な暗い緑色の絹糸光沢を放つ葉片状集合体が観察できる。EDS分析の結果は確認だけ行いデータを保存していないため添付していないが,微量のクロムを検出した。千谷鉱山は一度調査しただけなので,クロム雲母はどの程度産出するのかは不明である。

                                                
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