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[理想化学式] Pb5(VO4)3Cl 鉛のバナジン酸塩鉱物である。色はオレンジ色,朱色,藁色,薄茶色,茶色またはこげ茶色と暖色系のものが多い。樹脂光沢またはガラス光沢を示し半透明のものが多い。結晶がはっきりしたものは六角板状,六角柱状を示している。六方晶系である。硬度は2.5~3,比重は6.9とされている。結晶構造上緑鉛鉱,褐鉛鉱などとともに燐灰石のグループに属している。バナジウムの部分が燐に置き換わると緑鉛鉱となり,砒素に置き換わるとミメット鉱となる。一部がそれぞれの元素と混じり合い固溶体を形成することが多く,化学組成上連続し中間のものも存在する。肉眼鑑定では褐鉛鉱,緑鉛鉱,ミメット鉱の判別ができないことがある。別の鉱山で写真と同じ色の鉱物を見つけ,褐鉛鉱かと期待したが,分析を行ったところ緑鉛鉱だったことがある。バナジウムを含むことから名づけられたそうだ。日本名は褐色の鉛鉱物が名前の由来になっている。海外ではイギリス,モロッコ,アメリカ,メキシコなど各地に産出する。特にモロッコ産のものは結晶が大きいうえに美しく立派なものが多い。日本では山口県の日高鉱山,福岡県の三吉野鉱山で産出が確認されている。鉱山以外では岩手県大船渡市崎浜,群馬県沼田市数坂などでも産出が確認されている。大倉鉱山ではズリで見られるが,1つしか見つかっておらず非常に希であると思われる。拡大写真では花崗岩の表面の黄土色~茶色の部分が本鉱である。同じバナジン酸塩鉱物である薄黄色のモットラム石と共生している。顕微鏡写真では粒状または柱状結晶が集合しているのが確認できる。一部には六角柱状結晶が確認できる。EDS分析結果を行たっところ鉛,バナジウム,塩素を主に検出し成分的には褐鉛鉱との同定に矛盾は見られない。 MENUページに戻る 前のページに戻る |