[理想化学式] (NaCa)(Mg,Fe)(Al,Fe3+(SiAl)O22(OH)
 ナトリウム,カルシウム,マグネシウム,鉄,アルミニウムの珪酸塩鉱物である。角閃石グループの中でバロア閃石グループを形成している。色は青緑色,緑色,緑色味を帯びた黒色,黒色などである。結晶は他の角閃石と同様に柱状結晶を成し産出する。単斜晶系である。角閃石類の硬度は5〜6で比重は3.0〜3.5となっている。比重は計算上では3.2である。名前はフランスの地質学者で古生物学者のシャルル=ウジェーヌ・バロア氏に敬意を表したルーマニアの著名な地質学者のゲオルゲ・ムンテアヌ・ムルゴチ氏により名付けられた。オーストリアのカリンシア州ザウアルペ市のものが模式標本とされている。海外では中国,イタリア,オーストリア,アメリカなどで見られる。日本ではあちらこちらで見られるが,徳島県のつるぎ町,愛媛県の五良津山,山口県の錦町などで報告されている。東日本にも一部見られるが,西日本の三郡帯などで見られることが多い。マグネシウムを多く含むこともあり,塩基性岩中あるいは苦鉄質岩中での産出報告が多くなっている。広瀬鉱山ではズリ中に見られる。拡大写真は母岩中に黒色の板状または柱状結晶が散りばめられている。顕微鏡写真ではやや緑色を帯びる黒色の板状または柱状結晶となっている。SEM像でも肉眼と同じような結晶形態が確認できる。角閃石類は綿密な分析による同定が必要で正確に確定していないことから鉱物種を黄色で表示している。バロア閃石としている理由は,EDS分析によりナトリウムとカルシウムがほぼ同程度検出されたことである。結晶面を測定していることから誤差は少ないと思われ,また他の数か所でも同じ傾向が見られたためである。また広瀬鉱山と同じような地質である付近の日南町の塩基性岩中からも産出が報告されていることなどからバロア閃石と同定しており確率は高いものと考えている。

                                                
MENUページに戻る   前のページに戻る