［理想化学式］　Ｂａ０．５Ｆｅ４（ＡｓＯ４）３（ＯＨ）４・５Ｈ２Ｏ 　バリウムと鉄を主とする砒酸塩鉱物で，バリウムはカリウム，ナトリウム，アルミニウムに置き換わることがあり，カリウムのものは毒鉄鉱，アルミニウムのものはアルミノ毒鉄鉱，ナトリウムのものの日本名は不明となり別種となる。毒鉄鉱−Ｂａと表記しているが，バリウム毒鉄鉱，重土毒鉄鉱と呼ばれることもある。色は薄黄色，黄色，オリーブ色，茶褐色，赤褐色，くすんだ水色など色々あり，半透明のものが多い。正方晶系が一般的だが等軸晶系のものもあり立方体を成すものが多い。正方晶系のものはＢａｒｉｏｐｈａｍａｃｏｓｉｄｅｒｉｔｅ-Ｑ，等軸晶系のものは−Ｃと表す。毒鉄鉱と皮膜状の場合はビューダン石などとの同定が難しい。一般的に小さい結晶のものが多く硬度や比重を測ることは難しいが，硬度は２．５で比重は３．１とされている。元々の毒鉄鉱とバリウムを主成分とすることから名付けられた。ドイツ，フランス，スロバキア，アメリカなどで見られるが，ドイツ，フランスでの産出確認が突出している。日本では茨城県の高取鉱山，栃木県の日光鉱山などで見られるが産地は少ない。広島県の瀬戸田鉱山近くにある採石場の一部のグライゼン中に様々な砒酸塩鉱物が見られ，毒鉄鉱−Ｂａもこのグライゼン中から産出した。ここの毒鉄鉱−Ｂａは薄黄色のものが多く，毒鉄鉱も同じ色合いを示すものもあり同定が難しい。拡大写真では薄黄色の部分が本鉱である。顕微鏡写真では光沢が強いが微細な立方体の結晶が所々確認できる。格子定数を計算してみたところａ＝７．９５９，ｂ＝８．０４２Å，Ｖ＝５０９．４５Åとなり，ドイツ産のものとほぼ近い値をとっている。また，−Ｑのものにａ＝７．９４７，ｂ＝８．０４９Å，Ｖ＝５０８．３３Å３となっている資料もあり極めて近い。最近，岡山県内の鉱山でも確認しているが，岡山県の鉱山の方は結晶がはっきりしており調査している段階である。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ＭＥＮＵページに戻る　　　前のページに戻る