[理想化学式] Ag
 銀の硫化鉱物である。色は暗鉛灰色で金属光沢を示す。高温で生成されたものは立方体,六角柱状の輝銀鉱になり,低温で生成されたものは針状の針銀鉱になる。高温では安定しているが173℃以下になると輝銀鉱では存在できないため内部は針銀鉱に変化し輝銀鉱の仮晶になっている。輝銀鉱は等軸晶系であるが,針銀鉱は単斜晶系である。一般的に存在しているもののほとんどは針銀鉱ということになるため,呼び方も針銀鉱という方が適当であるが,以前からの通称として輝銀鉱と呼ばれることもある。ラテン語の銀が名前の由来だそうだ。日本では静岡県の清越鉱山で肉眼的な結晶が産出することで有名だが,通常銀黒と呼ばれているものはこの輝銀鉱であることが多い。一般的に金と共生することが多く,多くの金山で顕微鏡大で見られることがしばしばある。濃紅銀鉱とは共生しないとされている。大倉鉱山は江戸幕府直轄の銀山として稼行しており,石見銀山とも呼ばれ結構有名な鉱山であったようだ。一時期かなり銀を多量に採掘したようで,自然銀や針銀鉱などの銀鉱物が見られる。方鉛鉱中にもかなりの量の銀が含まれているようだ。大倉鉱山の針銀鉱はズリ中に見られるが,銀鉱物特有で黒ずんでいる。拡大写真では分かりづらいが中央のくぼんだ所に見られる。顕微鏡写真では中央の黒いいくつかの筋のようなものが本鉱である。SEM像では薄い刃のような独特の形状をしていることが確認できた。EDS分析の結果,銀と硫黄が検出され,銀と硫黄の構成元素比率(At%)がおおむね2:1になっていることから針銀鉱(輝銀鉱)と同定した。


                                                
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