[理想化学式] CaTiSiO
 カルシウムとチタンの珪酸塩鉱物である。色は薄茶色,オレンジ色,薄黄色,飴色,オリーブ色,白色など様々な色のものが見られる。半透明のガラス光沢,ダイアモンド光沢,樹脂光沢を示す。結晶は一般的に立体的なものが多いが,多くは一般的にクサビ形をしているものが多い。単斜晶系である。硬度は5〜5.5,比重は3.5〜3.6とされている。マラヤ石の錫をチタンに置き換えたものに相当し,同じような構造を持っている。チタン石と呼ばれることがある。クサビ石グループに属し,マラヤ石など全部で4種類の鉱物が知られている。共生鉱物は曹長石,緑泥石類,緑簾石,燐灰石などである。日本名では結晶の形が名前の由来になっており,一方英名ではチタンを含んでいることから名付けられた。ドイツ,ポルトガル,モロッコ,ブラジルなど世界のあらゆる国で産出が確認されている。日本でも各地で見られるが,立派な結晶のものは地域が限られている。愛媛県の五良津では母岩中にレモン色をした肉眼でも確認できる程の結晶が埋まっているものを見ることができる。四国地方では結晶の大きいものが多いが,中国地方では大きな結晶が見られる産地はあまり知られていない。藤ケ谷鉱山では母岩石中に薄茶色柱状結晶のものが見られた。拡大写真では分かりづらいが写真左側のやや薄茶色〜薄灰色をした部分に集中しており,顕微鏡写真では薄茶色の柱状結晶が確認できる。当初は藤ケ谷鉱山ではマラヤ石の産出が確認されていることと近くに微細な錫石のような光沢をした鉱物が見られたためマラヤ石と考えた。念のためEDS分析を行ったところカルシウム,チタン,珪素が検出され,クサビ石と同定された。SEM像は母岩から分離した結晶の画像である。なお,近くに見られた錫石のような光沢をした鉱物は金紅石であることが判明した。

                                                
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