[理想化学式] NiS
 ニッケルの硫化鉱物である。色は黄鉄色,灰色味を帯びる金色が一般的であるが,こげ茶色,灰鋼色をしているものも一部に見られる。三方晶系である。結晶は針状,毛状あるいは柱状で結晶が集合したものが多い。結晶は不規則に集合しているものもあるが扇状,房状に集合しているものも見られる。蛇紋岩中に黄鉄鉱のような金色をした鉱物が見られればニッケル鉱物との予想はつくが,ヒーズルウッド鉱,ペントランド鉱など黄鉄色を示す鉱物もあり,塊状であったり,針状結晶が確認できないと見慣れていない人では同定するのが難しい場合がある。正マグマ鉱床,低温の熱水鉱脈鉱床などに産出する。硬度は3〜3.5,比重は5.3〜5.5とされている。日本名では針状のニッケル鉱物が名前の由来である。一方英名はイギリスの鉱物学者で結晶学者でもあるウィリアム・ハロウズ・ミラー氏に敬意を表したオーストリアの鉱物学者で地質学者でもあるウィルヘルム・カール・ハイディンガー氏により名付けられたそうだ。海外ではドイツ,イタリア,アメリカ,カナダなど世界各国で見られる。日本では群馬県の多野鉱山,兵庫県の大屋鉱山,大分県の若山鉱山などで産出が確認されている。美川鉱山ではマグネシウムを採掘した鉱床とは離れた場所でニッケルの探鉱をしていたようだ。現地の坑口の前は植林になっており,植林の法面の一部にズリが露出している。このズリには蛇紋岩,菱苦土石が見られ,蛇紋岩中に磁鉄鉱,クロム鉄鉱などとともに針ニッケル鉱が見られる。拡大写真では割れ面のあちらこちらにある朽葉色になっている部分が本鉱である。顕微鏡写真では黄鉄色をしており一部が針状に集合しているのが確認できる。発見時は塊状のものが多く黄鉄鉱かと思ったが蛇紋岩中であるため不審に思い研磨面を作成しEDS分析を行ったところニッケル:硫黄の構成元素比率(At%)がだいたい48:52となっていたため針ニッケル鉱と同定した。

                                                
MENUページに戻る   前のページに戻る