[理想化学式] PbFeSb14
 鉛,鉄,アンチモンの硫化鉱物である。色は鉛灰色,黒鋼色で金属光沢を示す。単斜晶系である。結晶は毛状,針状のものが多く,毛状や針状結晶が集合して繊維状や塊状になったものも見られる。鉛,銀,亜鉛鉱脈の低温〜中温の熱水鉱脈鉱床,接触交代鉱床に産出する。比較的鉱床で後期に生成される鉱物である。共生鉱物は黄鉄鉱,閃亜鉛鉱,方鉛鉱,安四面銅鉱類,輝安鉱,その他の鉛の硫塩鉱物(広い意味では硫化鉱物),石英,菱鉄鉱,方解石,苦灰石,菱マンガン鉱などである。硬度は2.5,比重は5.6とされている。日本名は毛状の結晶形態から名付けられた。一方学名はスコットランドの鉱物学者であるロバート・ジェイムソン氏が名前の由来となっている。イギリスのコーンウォール産のものが模式標本とされている。なお,鉄よりマンガンが卓越したものはベナビデス鉱となり,組成上連続する。海外では世界各国で見られる。日本では埼玉県の秩父鉱山,愛媛県の古宮鉱山,福岡県の吉原鉱山などで見られる。豊稼鉱山はスカルン鉱床であるが熱水鉱床と考えられる部分も見られ,こうした熱水鉱床部分にアンチモン,マンガンを産する。マンガン鉱床としては稲倉石型と考えられている。稲倉石型は北海道の稲倉石鉱山などで数少なく珍しい。銀,鉛,アンチモンの硫塩鉱物は稲倉石鉱山と似通っている。豊稼鉱山ではズリ中に見られる。拡大写真ではクトナホラ石中の暗い灰鋼色の部分が本鉱である。顕微鏡写真では暗い灰鋼色の繊維状集合となっており,SEM像で柱状結晶が集合していることが観察される。EDS分析を行った結果,鉛,鉄+マンガン,アンチモン,硫黄が検出され,わずかに銀が含まれるものの鉛と鉄+マンガンとアンチモンと硫黄の構成元素比率(At%)がおおむね4:1:6:14になっており,鉄>マンガンとなっていることから本鉱と同定した。

                                                
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