[理想化学式] NaCa(Mg,Fe)Fe3+SiAl22(OH)
 ナトリウム,カルシウム,マグネシウム,鉄,アルミニウムの珪酸塩鉱物である。角閃石グループの中でへスティング閃石グループを形成している。色は黒色,緑色味を帯びた黒色,灰色,白色,ブロンズ色などである。ガラス光沢を示す。結晶は他の角閃石と同様に柱状結晶を成し産出する。単斜晶系である。角閃石類の硬度は5〜6で比重は3.0〜3.5となっている。比重は計算上では3.2である。名前はへスティング閃石の由来であるカナダの地質学者であり鉱物学者であるフランク・ドーソン・アダムズ氏及び同じくカナダの鉱物学者であるバーナード・ジェームス・ハリントン氏により模式標本地のカナダのオンタリオ州へスティング郡ダンガノン行政区とマグネシウムを表す言葉を合わせたものとなっている。へスティング閃石の鉄をマグネシウムが卓越したものに相当する。海外ではドイツ,イタリア,スロバキア,アメリカなどで見られるが,アフリカ,南アメリカ,オーストラリアなど南半球での産出は少ない。またイギリスでの産出は今のところ確認されていない。日本でも産出は少なく,長野県の戸隠での産出が報告されている。実際には他にも産地があると考えられる。アルカリ成分の多い玄武岩,安山岩,ラテライトなどとともにマグネシウムに富んだ鉱床で見られる。日野上鉱山で目にした際には緑色味を帯びた黒色の柱状結晶が集合していたため角閃石類と考えた。ズリ中で見られたがあまり気に留めていなかったため実際の産出量は不明である。EDS分析ではMg>Feとなっており苦土類の角閃石であることを確認した。また,X線回折分析の結果はICDDカードで苦土へスティング閃石のものが見当たらなかったため,比較的近いマグネシウムを多く含むへスティング閃石のものを用いて比較検討を行ったがほぼピークが一致していたことから苦土へスティング閃石と判断した。なお,この標本の母岩は斑レイ岩であり,裏側には数mmの緑簾石の結晶が2cm×4cmの広がりで見られる。

                                                
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