[理想化学式] (Cu、Ag)PbBi20
 鉛とビスマスの硫化鉱物である。銅と銀も含んでいる。鉄も微量ながら含まれているようだ。一般的に資料では理想化学式をPbBiとしているものも多い。関東鉱物同好会発行の加藤昭氏著「硫化鉱物読本」では銀と銅は銀が多いものと銅が多いものの両方があると記載されている。色は灰鋼色または鉛灰色である。灰鋼色のものは色が明るく強い金属光沢を示す。直方晶系(斜方晶系)である。結晶は針状、短柱状である。鉛とビスマスの硫化鉱物は色々な種類があり肉眼鑑定は容易ではないが針状や短柱状が確認されれば同定しやすい。中温〜高温の熱水鉱脈鉱床などに産出する。自然蒼鉛、黄銅鉱、輝蒼鉛鉱、輝コバルト鉱などと共生することが多い。硬度は2.5〜3、比重は6.9〜7.0とされている。模式標本の産地であるメキシコのシナロア州にあるコサラ鉱山が名前の由来だそうだ。海外ではイタリア、カナダ、アメリカ、メキシコなどで見られる。日本では群馬県の萩平鉱山、京都府の富国鉱山などで産出が確認されている。薬王寺鉱山では近隣の佐々並鉱山、西鳳翩鉱山などと同様に花崗閃緑岩中に産出する場合が多い。薬王寺鉱山のビスマスを含む鉱物で花崗閃緑岩中に産出するものは他には輝蒼鉛鉱、リリアン鉱、ガレノビスムト鉱、ブルサ鉱?などがあり、これらの鉱物の同定は難しいことが多いが、短柱状結晶を成しているものはコサラ鉱の可能性が高い。似た色をした方鉛鉱は薬王寺鉱山では今のところ見かけていない。拡大写真のコサラ鉱は割れ口の部分に見られ、顕微鏡写真では短柱状結晶の集合となっており、灰鋼色である。EDS分析を行った所、鉛、ビスマス、硫黄がほぼ2:2:5で検出された。銀も微量ながら含まれていた。

                                                
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