[理想化学式] FeOOH
 鉄の水酸化鉱物である。色は黒茶色,黄茶色,赤茶色のものを多く見かけるが,イリデッセンス,メタリックな赤,黄,緑,青,紫色のものも見られる。一般的に鱗鉄鉱とともに褐鉄鉱と呼ばれている。亜ダイアモンド光沢,絹糸光沢,金属光沢,土状光沢を示す。直方晶系である。結晶は房状,柱状,針状結晶を示すが,土状,塊状のものが多い。房状のものの破断面は針状結晶が集合したようになっている。硬度は5〜5.5,比重は4.3とされている。酸素の多い環境下での様々な鉄含有鉱物から生成される一般的な風化鉱物で,しばしば見られる。風化した鉄鉱床では重要な鉱石鉱物となり採掘されている。共生鉱物は鱗鉄鉱,赤鉄鉱,黄鉄鉱,菱鉄鉱,パイロルース鉱などのマンガン鉱物である。ドイツの有名な詩人であり,劇作家であるゲーテ(ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)氏が名前の由来となっている。ゲーテ氏は文学で世界的に有名だが,自然科学でも特に骨学,植物学,地質学にも造詣が深く,各地で石を収集し,その数は2万点近くに及んだと言われている。一般的な鉱物で世界各国で見られる。日本でも多くの産出報告がある。愛知県の天然記念物である高師小僧はいわゆる褐鉄鉱である。七宝鉱山の針鉄鉱はズリ中に見られ,全体的に鉄,マンガンを含む転石が多く,転石のほとんどが針鉄鉱,赤鉄鉱にパイロルース鉱などのマンガン鉱物が加わり塊りになっているものが多く見られる。割ると空隙中に房状の針鉄鉱が生成されていることがあり,破断面は針状結晶が集合し扇状になったものが見られる。一般的な鉱物であるが,珍しく結晶になっているのが確認されたため掲載した。拡大写真では分かりづらいが,超拡大写真では右上に,顕微鏡写真では扇状の結晶が確認できる。X線回折分析結果は一部鱗鉄鉱を含んだ針鉄鉱のピークと一致している。
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