[理想化学式] BiTeS
 ビスマスとテルルの硫化鉱物である。色は銀白色〜銀鋼色で金属光沢を示す。ビスマス、テルルからなる鉱物は光沢が強い傾向にあるが、この鉱物も光沢が非常に強い。三斜晶系である。結晶をはっきり示すものはなかなか見られない。石英鉱脈中やグライゼン中に見られる。共生鉱物は輝蒼鉛鉱、ホセ鉱、硫テルル蒼鉛鉱などである。硬度は2.5、比重は7.9とされている。ビスマスを成分としているため塊のものは重量感があると思われる。他のビスマス,テルルを含む鉱物とは外見的にあまり相違がないため肉眼での同定は難しい。ロシアのザバイカリエ地方のインゴダ鉱床に因んで名付けられた。ザバイカリエ地方はモンゴル国境付近にある。模式標本地はロシアのザバイカリエ地方、インゴダ川付近のヴェルフネ・インゴディンスコエ錫鉱床となっている。スコエはロシア語で村を意味する単語だそうだ。海外ではロシア、アメリカ、中国、ルーマニアなどあちらこちらから産出が報告されている。日本では栃木県の大井沢鉱山、山梨県の乙女鉱山などで産出が確認されている。三原鉱山では自然蒼鉛、輝蒼鉛鉱、ホセ鉱A、ホセ鉱B、エンプレクト鉱、ウィチヘン鉱などのビスマス鉱物、ビスマス−テルル鉱物、銅−ビスマス鉱物が見られるズリ中に希に見られる。拡大写真では非常に分かりづらいが左側の部分に数か所1〜2mmの大きさで見られる。ルーペで観察すると、光沢を放っていることが確認できる。EDS分析では何度か分析を起こったが、いずれの結果もビスマス、テルル、硫黄がほぼ2:1:1となり、分析結果から該当する鉱物を調べたところインゴダ鉱の存在を知り、産出条件、共生鉱物、構成元素比率などから本鉱と同定した。

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