[理想化学式] CuO
 銅の酸化鉱物である。色は黒色,灰色で金属光沢または土状光沢を示す。単斜晶系である。結晶は針状,針状結晶が集合して房状になったものが見られるが,皮膜状のものが多い。硬度は3.5,比重は6.5とされている。銅の熱水鉱床の酸化帯や火山の昇華物として産する場合が多い。銅の熱水鉱床の酸化帯では赤銅鉱,自然銅,珪孔雀石,孔雀石,藍銅鉱と共生することがあり,火山の昇華物ではアタカマ石などと共生することがある。模式標本地はイタリアのカンパニア州のナポリ市にあるソンマ・ベスビオ複合成層火山であり,火山の昇華物である。日本名は黒色の銅鉱物が名前の由来に成っている。一方英名はイタリアの植物学者であるミケーレ・テノーレ氏に因んで名付けられた。1962年のIMA(国際鉱物学連合)が名称を統一するまでは別種のメラコナイトという名称が使用されたこともあった。海外ではドイツ,スイス,イタリア,アメリカなど世界各国で見られるが,中央アフリカでの産出報告は今のところ見られない。日本の鉱山では静岡県の河津鉱山,愛知県の中宇利鉱山,火山昇華物では東京都の伊豆大島の三原山で産出が報告されている。銅の鉱床で黒色のものがあれば黒銅鉱と考える場合があるが,銅を産する鉱山で黒色のものが見られたとしても別の鉱物である場合や二酸化マンガン鉱の混入による場合も多く見られる。黒銅鉱である場合はかなり少ないように思われ,割合珍しい鉱物であると思われる。高根鉱山ではズリ中の銅に富んだ鉱石中に珪孔雀石を伴い黒色の皮膜状で産する。見かけは粉っぽいとか軟らかそうな感じはせず,乾いたような黒色をしている。EDS分析では銅がほとんどの割合で検出されたため黒銅鉱と考え,X線回折分析を行ったところ,石英や赤銅鉱など他の鉱物の混入が見られるものの黒銅鉱とピークと一致している。

                                                
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