[理想化学式] (MnMn4+1−X2−2X(OH)2X
 マンガンの酸化鉱物で,色は黒色または灰黒色で金属光沢を示し,塊状では黒色の土状光沢を示すことが多い。結晶は房状または球状結晶が集合したものが見られるが、多くは塊状になっている。六方晶系である。硬度は6.5〜8で比重は4.2〜4.7とされている。硬度は石英が7であることと比較してもマンガン鉱物にしては非常に硬く、比重はやや幅がある。ラムスデル鉱のグループに属している。日本名ではかつて横須賀鉱、横須賀石と呼ばれていた。また、硬いマンガン鉱物の意味から一義的に硬マンガン鉱とも呼ばれることも多かった。黒色の二酸化マンガン鉱物は種類が多く同定が難しいが,他のマンガン鉱物に比べ一般的である。マンガン鉱床の二酸化マンガン鉱が多く、カリウムに乏しいアルカリ性酸化条件下で生成されると考えられている。パイロルース鉱、クリプトメレン鉱、ロマネッシュ鉱、カルコファン石、菱マンガン鉱、針鉄鉱、石英、他の二酸化マンガン鉱物などと共生することが多い。模式標本地のガーナのエンスータ鉱山に因んで名付けられた。エンスータに石を意味するiteが付きエヌスタ鉱と呼ばれるようになった。世界各国で見られるが、インド、コンゴ民主共和国、ザンビア、ナミビア、ブラジルを除く南アメリカ大陸などでは今のところ産出報告はない。日本では北海道の上国鉱山、埼玉県の秩父鉱山、愛媛県の野村鉱山など各地で見られる。高山鉱山では小高い頂上にある坑口付近のズリ中に見られる。塊状でやや青味を帯びた濃黒色を成している。拡大写真では下部の黒色部分が本鉱である。X線回折分析ではピークがブロードながらもエヌスタ鉱とほぼ一致している。

                                                
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