[理想化学式] CaSi(CO)[B(OH)]O(OH)・12H
 カルシウムと珪素の炭酸塩鉱物または硼酸塩鉱物である。結晶水も多い。色は薄ピンク色、薄黄色、薄茶色、無色でガラス光沢を示す。色は 微量に含まれる元素に左右されているようだ。光沢はガラス光沢となっているが、実際顕微鏡で観察すると脂肪光沢に近いように感じる。六方晶系である。エトリング石グループに属する。結晶は六角柱状または鉛筆の先を丸く削ったような先端を示すような結晶を成すものが多い。エトリング石の写真や画像を見るとよく似ている。熱水変質した硼素を含む低鉄分の炭酸塩、珪酸塩スカルン中の低温生成された鉱物とされている。逸見石、方解石に伴い見られる。硬度は2〜2.5、比重は1.8とされており、鉱物としては非常に軽い。日本の岡山大学教授で布賀の鉱物を研究し多くの新鉱物を発見し、鉱物学に貢献した逸見千代子氏に敬意を表して名付けられた。発見はロシアの鉱物学者の研究による。今のところ世界中で日本の岡山県の布賀鉱山が唯一の産地となっている。以前に逸見石の標本をいただき、改めて見直すと薄ピンク色の鉱物が目に入り、分析を行ったところ本鉱であること確認した。珪素が一部アルミニウムに置換したり、炭酸塩、硼酸塩の部分が硫酸塩、砒酸塩に置換され、一部は卓越することもあるそうで、卓越すると鉱物の分類上別種の鉱物となるが現在はそこまで詳細に研究されていない。この標本も著量のアルミニウム、硫黄を微量の鉄、マンガン、砒素を検出している。この標本とは別に逸見石として保管しているものには薄黄色、薄緑色のものも見られ、別の元素が検出される可能性がある。SEM像では六角柱状結晶が集合しているのが確認できる。

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